C-1







「佐伯・・・」
呼ぶ声に誘われてそのまま、口付けた。
ぐるりと、口内を舌が蹂躙する。
目を開けたまま、御堂の悦楽に浸る表情を見つめる。
赤く染まる頬が、悦びを饒舌に語る。
閉じられた瞼がひくひくと痙攣している。
長い、長い絡みあいの後、最後にもう一度唇に柔らかくキスを落として顔を離した。
薄くあいた唇から、唾液がつうと垂れる。
拭おうともしない御堂に、
やはり今の御堂はおかしいのだと気付かされる。
それでも、自分を求め、自分の名を呼び、従順に快楽を覚える御堂を目の前にすると押さえきれない。
「御堂・・・」
欲望を潜めた声で名を呼ぶと、御堂の瞳があいて、濡れた瞳を笑みの形に歪めた。
床に横たわる御堂の上に獣のように覆いかぶさると、足をあられもなく大きく開かせる。
大きくそそり上がったモノも、ひくつく後孔もすべてがあらわになる。
「俺が・・・欲しいですか」
上からそれを見下ろしながら聞く。
「・・・欲しい・・・」
開かれた足の間を隠しもせずに御堂が見上げる。
「今すぐ・・・入れて・・・くれ・・・」
蕾に手を触れると、それは易々と指を飲み込んでいった。
けして広くはない中は、それでも指の刺激を待ち望んでいたかのように震え、
奥へ奥へと飲み込こもうとする。
「・・・あ・・・」
御堂が小さく声をあげるのが耳に響き、
克哉の中に残されていた罪悪感や後悔や理性がすべて飛んだ。
指を3本に増やし、御堂のナカの気持ちいいところを強く擦る。
「うう・・・んっ・・・」
押し殺したような声が、閉じた御堂の口元から漏れる。
「厭らしいなあ。御堂さん。
ほら、指を三本も飲み込んでる」
「ふぅ・・・」
「前も、触ってないのにこんなになって・・・」
「ん・・・」
攻め言葉にぴくり、ぴくりと反応を返す御堂が愛おしい。
「・・・佐伯・・・いれ・・・て・・・ほし・・・い・・・」
両手をゆっくりとあげると、克哉の背に手を回す。
抱きつかれて、疵だらけの背中が激しく痛む。
「く・・・」
それでも、促されるままに深く突きいれた。
それだけで御堂の身体がびくびくと痙攣する。
「ああ・・・あ・・・。熱い・・・」
より深く迎え入れようと、御堂の腰があげられる。
あごをのけぞらせた御堂の首筋に、口付けを降らしていく。
悦楽に満ちたその表情を見れば、あっさりとたががはずれた。
あとは足を持ち上げて、御堂のことを気遣うこともできずに、
レイプでもするような激しさで、ただ自分の快楽のために強く打ち付けるように腰を振った。
痛みはあるだろうにそれでも御堂は、あえやかな喘ぎ声を漏らし、
目の端に涙を浮かべて受け入れた。



やがて訪れるホワイトアウト。
そして、また死んだ目に戻る、愛おしい人。





繰り返し。
繰り返し。
ウロボロスの噛む尾の先を何度目指しても、
また頭へと還るだけ。
Mr.Rから与えられる壮絶な痛みと、被虐のなが長い時間があけて
その果てに会えた御堂を何度抱いても、
また時間が過ぎれば御堂は悪夢の中へと帰り、
また痛みの中に囚われる。
円環の中、御堂を目覚めさせる方法は見つからず、
ただ自分は押さえ切れない欲望のままに御堂を穢してはまた暗い部屋へと帰っていく。
繰り返し。
繰り返し。
それがループでないと分かるのは、
背中の傷が増えていくことと、
Mr.Rに抱かれるたびに、少しずつ変わっていく自分の身体の反応だけ。
それが、嫌で、嫌でたまらない。
嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で。
気が狂いそうになる。
それでも自分は、従うことは、しない。
だから隠されていると分かっていても、
その眼の憎悪だけは絶やさない。
繰り返し。
繰り返し。

ああでも。
気が触れるかもしれないという恐怖が、身を苛んだ。










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